千早くんは、容赦が無い
 『セン』くんは、会って十数分の私に告白してきた。

 冷静に考えれば、私のことを好きになっている暇なんて無かったはず。

 だから『アオハル』上でのやり取りをして、『ちぇりー』である桜子に好意を持ったのだと私は思う。

『えー? いやー、それは無いよ』

 そんな私の予想を、桜子はすぐに否定した。

「えっ、なんで?」

『だって私たち、当たり障りのない話しかしてないもん。好きな音楽とか趣味とか、今日何食べたとか……。そりゃ気楽にやり取りできるから楽しかったけど、深い話は全然してないよ。コイバナだって一度もないし。「セン」くんが「ちぇりー」を好きになる要素なんて、ゼロだったと思うなあ』

「うーん……。でも会って十五分くらいしか話していない私よりは、桜子の方が可能性あると思うけどなあ」

 確かに桜子の言う通り、顔も名前も知らない上に世間話しかしていない相手を好きになるなんて、なかなか考えづらい。
 
 だけど私のことを好きになるよりは、可能性はあると思うんだ。

 ――そう考えた私だったけど。

『だから、「セン」くんは亜澄に一目ぼれしたってことだよ!』

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