千早くんは、容赦が無い
 相変わらず、テンション高い様子で桜子が言った。

「ええ!? 私に一目ぼれってっ……。無い無い、それは絶対!」

 あり得な過ぎて私は全否定してしまう。

 目を引く美人の桜子ならともかく、私に一目ぼれするなんて、それこそあり得ないって!

『なんでよ?』

「だって私、どちらかというと地味だし……」

『何言ってんの! 亜澄かなりかわいいんだよっ? あんたは気づいてないかもしれないけど、結構男子の中で人気があるんだから! 陸だって……』

「陸? なんでそこで陸が出てくるの?」

 前半の桜子の言葉はいつものお世辞なので聞き流したけど、突然陸の名前が出てきたから不思議に思って私は尋ねた。

 ――すると。

『ご、ごめんなんでもない。とにかく、「ちぇりー」のアカウントを亜澄にあげるから、しばらく「セン」くんとやり取りしてみなよ。そうすれば「セン」くんが好きなのが私なのか亜澄なのか、そのうち分かるんじゃない?』

 陸のことは誤魔化されてしまったけれど、その後の話の方が重要だったので私はこう尋ねた。

「えっ、私が今後は『ちぇりー』ってこと? どんな風に話したらいいんだろ……」

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