千早くんは、容赦が無い
『まずはさっきはいきなり帰ってごめん、から初めてさ。今までのやり取りは履歴から見れるから、それで適当に話し合わせていけばいいと思うよ』

「適当にかあ……」

 呟くように私は言う。

 男の子に面と向かって「好き」って言われたのは、初めてだった。

 それだけでもどうしたらいいのかわからないはずなのに、本当に私のことが好きなのかどうかもわからないっていう、かなり複雑な状態だ。

 適当にって桜子は言うけど、私にはとても難しい気がした。

『亜澄は、「セン」くんと話していて楽しかったんでしょ?』

「うん……。それはそうだね」

 桜子に言われて、「セン」くんとの会話を思い出す私。

 苺のショートケーキに喜ぶ私をかわいいって言ってくれたり、苺をあっさりとくれたり、学校での出来事を面白く話してくれたりした「セン」くん。

 短い時間だったけれど、とても楽しかったのは事実だ。

 「ちぇりー」のことが無ければ、本当はもっと長く話していたかった。

『難しいことは考えないで、しばらくは友達だと思って付き合ってみたらどう? とりあえず告白のことは保留にしてもらってさ』

「なるほど……」

< 36 / 221 >

この作品をシェア

pagetop