千早くんは、容赦が無い
 「アオハル」では、他のSNSでは起こりがちな誹謗中傷や金銭の要求といったトラブルは、ほとんど報告されていないって聞く。

 高校生しかおらず、身分証提示が義務付けられているおかげみたい。

 だけど私は、「アオハル」どころか他のSNSもやった経験が無くって。

 そんな私にとってみれば、やっぱり顔も知らない相手と繋がることには、ぼんやりとした不安があるんだよね。

「怖いことなんてないのにー。もう、もったいないなあ」

「もったいないかなあ。でも、リアルの友達だけで私は十分だよ~」

 残念がる桜子に、私は笑って言う。

 仲のいい桜子と毎日一緒に過ごしているし、幼馴染の陸を始めとしたクラスメイト達だって、だいだい気楽に話せる間柄だ。

 だから今さら、「アオハル」なんてやらなくても十分なんだよね。

 それに、そんなことより。

「あっ、そういえば今週末近所のホームセンターでバーゲンがあるんだって! そろそろプランターに何か植えたかったんだよね~」

 小さい頃から私は花や植物が大好きだ。

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