千早くんは、容赦が無い

 それとも。

 私のことが、好きだから?

 ……なんてね。

『そう? ありがとう! 柊くんも、苗字も名前もかっこいいね』

 メッセだと、慌てないで返事が送れる。

 かわいい名前って言われて動揺しまくりの私だったけれど、スマートな返しをすることができた。

『ありがと。俺のことは千早でいいよ』

『それなら、私のことは亜澄でいいよ』

『おっけ。じゃあ亜澄、明日一緒に帰ろうよ』

 えっ、と思わずリアルで声が出てしまう。

 明日かあ、いきなりだなあ……。

 恋愛経験など皆無に等しい私にとってみれば、展開が早すぎてちょっとついていけない。

 でも「セン」――千早くんのことを知っていかないと、何も始まらないよね。

 そう考えた私は、千早くんにこう返事をした。

『うん、喜んで!』

『よっしゃ。じゃあ明日、放課後花壇の前でね』

『了解です! 明日はよろしくね、千早くん』

『うん、よろしく亜澄』

 こうして、千早くんとの「アオハル」での初のやり取りを終わらせた私。

 思わず「ふう」と声に出して溜息をついてしまう。

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