千早くんは、容赦が無い
 その上運動もできて、見た目もかっこいいなんて。

 さらに優しいし爽やかだし、話していてい面白いし……。

 えっ、千早くんって欠点が何もないスーパー男子なんじゃない!?

 なんてことを外を見ながら考えていると。

「如月!」

「は、はい!?」

 急に大声で先生に呼ばれたので、私はびくりとして裏返った声で返事をしてしまった。

「まったく、何回も呼んだのに。何をしてるんだ」

 数学の田代先生は呆れたような声で言った。

 え、そうだったの?

 全然気が付かなかった……。

 先生がそんなに怒っていないのはよかったけれど、恥ずかしくなった私は小さくなって「すみません……」と小声で謝罪をする。

「校庭の、理数科男子の体育にでも見惚れていたのかな?」

 先生はからかうように言った。

 げ、なんでわかったの先生。

 図星だった私は、何も言葉が見つからない。

 くすくすという笑い声が、周囲から聞こえてきた。

 桜子なんて、ニヤニヤしながら私の方を見ている。

 恥ずかしすぎる……。

「はいはい、皆はちゃんと話を聞くようにな。次の問題行くぞー」

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