千早くんは、容赦が無い

一緒に帰ろう

 放課後になって、待ち合わせ場所の花壇の前へと恐る恐る向かった私。

 桜子には「頑張ってねー」とニヤニヤしながら送り出された。

 な、何も頑張ることなんてないから!

 友達として、自然に、普通に接するだけ。

 だけどなんでこんなにドキドキするんだろう。

 きっと千早くんが下手にかっこよすぎるせいだよね。

 花壇の前にたどり着くと、千早くんはすでに待っていた。

 すらりと身長の高い千早くんが、ポケットに手を突っ込んで花壇の前で佇んでいる姿は、それだけで絵になってしまう。

「ち、千早くん。お待たせ」

「いや、俺も今来たとこ。……なんて、一度言ってみたかった台詞だわ」

 悪戯っぽく笑って千早くんは言う。

 彼のそんな自然体の様子に、ガチガチに緊張していた私の体が柔らかくなっていく。

 そういえば昨日も、最初はとても緊張していたのに、話しているうちにそんなこと忘れていて、いつの間にか楽しい気分になっていたっけ。

「千早くんって亜澄に呼ばれるの、なんだかくすっぐたい感じ」

「えっ、やっぱり嫌だった!?」

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