千早くんは、容赦が無い
 今までは「アオハル」上で「ちぇりー」と「セン」くんって呼び合っていたもんね。

 まあそれは桜子がやっていたことで、私が呼んでいたわけじゃないけれど……。

「いやいや。ネットだけの関係からリアルに知り合えた感じがして、なんだか感慨深いなあって。亜澄はそう思わない?」

 千早くんの爽やかな声で「亜澄」と呼ばれると。

 なんでかはわからないけど、それはとても心地の良い音色に感じられて、心に深く響いた。

「う、うん。そうだね……」

 千早くんの「亜澄」が体内に妙な余韻を残しながらも、私はなんとかそう答える。

「じゃ、帰ろっか。友達からってことだったから、今日は友達らしくいろいろ話そう」

「……うん」

 提案した千早くんに私が頷くと、彼は校門に向かって歩き始めた。

 私も千早くんと並んで歩く。

 さっき休み時間に、「アオハル」上でやり取りしたところによると、千早くんと私は途中まで帰り道が一緒だった。

 のんびり歩いたら、十五分くらいは一緒に帰ることになりそうだ。

 友達らしくいろいろ話そう、か。

 で、でも一体何を話したらいいんだろう!?

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