千早くんは、容赦が無い
 いつものように微笑んだまま、はっきりと千早くんはそう言った。

「えっ。あ、あのっ……」

 私はうろたえてしまってうまく言葉が出てこない。

 頬が熱い。

 絶対顔が真っ赤になってしまっている。

 だけどそんな私の様子などお構いなしで、千早くんはこう続けた。

「今は一応友達同士ってことだけど。俺はこんな風に『好き』って気持ち、隠さないから」

「か、隠さないって……」

「うん。だから毎日でも亜澄に『好き』って言うから、覚悟しといて」

 そう言って微笑んだ千早くんの微笑みは、少し意地悪で。

 だけど今までで一番――ドキドキした。

「っつーわけで、言いたいことは言えたー。じゃ、亜澄。また明日一緒に帰ろ」

「えっ、あ、うん」

「じゃーね」

 無邪気にそう言うと、千早くんは笑顔のまま手を振って、私に背を向けて歩き出してしまった。

 ひとりになった私は、「はあああ」と大きく息を吐いてしまう。

 まだ心臓の鼓動は全然収まってくれない。

 な、何!?

 なんなの、千早くんって!?

 あんなことはっきり言えちゃう人、いるんだ!

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