千早くんは、容赦が無い
　遅れちゃう……と、小走りになって息を切らしながら改札へたどり着くと。

　千早くんはすでに改札の前にいた。

　彼が佇む姿を見て、私は息を飲む。

　わ、すごくかっこいい……。

　少しダボっとしたグレーのニットに、重ね着した白いインナーが裾から見えている。

　ボトムはほっそりとした黒のスキニーで、シンプルなコーディネートだけどシルエットがとてもこなれていた。

　気張ったおしゃれでもないけれど、もちろんダサさとは程遠くて。

　自然体のおしゃれが似合うのは、千早くんの素材が完璧だからなんだろう。

　ブレザーの中にパーカーを着ている千早くんのいつもの制服姿ももちろんかっこいいけれど、学校では決して見られない千早くんの装いは、私の胸を高鳴らせる。

　グループデートとはいえ、あんなにかっこいい人が私を待っているなんて……。

　あー、ますます緊張してきちゃったよ。

「亜澄！　おはよ」

　心臓のドキドキによって荒くなって呼吸を整えていたら、千早くんが私に気づいて声をかけてきた。

「は、はい！　おはよっ」

　まだ心の準備ができていなかった私は、慌ててそう挨拶を返す。

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