千早くんは、容赦が無い
 私たちは改札を通って、遊園地の最寄りの駅へと向かう電車に乗った。

「久しぶりだなー、遊園地。楽しみ」

 車内の席に着くなり、千早くんが言った。

「え、千早くんも? 実は私もなんだ」

 私が遊園地を訪れるのは、子供の時に家族で行った以来だった。

「そうなんだ。じゃあとにかくたくさんアトラクション乗ろうよ」

「うん、いいね!」

「何乗ろうか?」

「うーん、そうだねー……」

 言いながら私は、遊園地のアトラクションを頭に思い浮かべる。

 やっぱり観覧車とかコーヒーカップとか、ジェットコースターかな?

 あっ、でもそういえば私、ジェットコースター苦手だったっけ。

 子供の頃家族で行った時も、麗奈がジェットコースターに乗る時は一緒に行かないで見てたもんなあ。

 昔のこと過ぎてちょっと忘れちゃっていた。

 ……あれ、でも待てよ。

「きょ、今日行く遊園地って。確かジェットコースターの種類が豊富なところだよね?」

 私は恐る恐る千早くんに尋ねる。

 グループデートで行く場所を決めた時に、桜子がそんな話をしていた。

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