千早くんは、容赦が無い
「よっしゃ、じゃあ行くか!」

 千早くんは意気揚々とそう声をかけてくれた。

 ねえ、千早くん。

 あなたの好きな「ちぇりー」は、一体誰なの?

 そんなことを考えながらも、その後千早くんとおとなしめのアトラクションをいくつか乗った私。

 千早くんと一緒にいるのは本当に楽しくて、「千早くんが好きなのは私じゃなくて『ちぇりー』なんだ」ってことを、つい忘れてしまう瞬間が多々あった。

 だけど我に返ると、いつもこう考えるんだ。

 この笑顔は、私に対して向けられているんじゃないかもしれない。

 だから千早くんを好きになんかなるな、私。

 ……って。

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