君だけに捧ぐアンコール
深夜、寝静まった部屋に一人分の寝息。加賀宮さんには客用布団を使ってもらっている。恋人同士なんだから、シングルベッドで二人で?!とちょっとドキドキしたけど、それどころじゃない。
よく泊まりにくる真知子ちゃんが買ったお布団は、それはもうフッカフカなので、そちらで寝ていただいた。
私は彼が眠れたのを確認して、少しネットで調べものをすることにした。
「ユリコ・カガミヤ」
彼女の音楽は煌びやかで雄大、表現力も技術力も抜群で、ファンが多い。今朝見つけた記事では、KEIのピアノの音色は、そのコピーだと書かれていた。
温かい演奏。確かに似ている。でも違う。うまく言えないけど。
彼の力になりたいのに、どうしたら力になれるのか、分からないまま、夜が更けていった。
*
翌朝は冷蔵庫に何も入っていなかったので、近くのパン屋さんでパンを買ってきた。パンとコーヒーで朝ごはん。質素だけど許してもらおう。今日の仕事の後は買い物かな。
「パンも買いに行かせてすまない」
「いいですよ!加賀宮さんよく寝てたし、朝のお散歩すがすがしくて良かったですよ」
やっぱり少し元気がない。この部屋にピアノがあったらよかったのに。
「じゃぁ私仕事行ってきますね!合鍵置いておきます」
「ありがとう」
「あ、あの!いってきますのキスとか…してもいいですか」
「ははっなんだよそれ」
久々にみる彼の笑顔にきゅんとする。私はこうして、彼の傍で、恋人としてしかできないなにかを探していこう。
「いいじゃないですか乙女の憧れですよ?」
ねだる私に根負けして、苦笑いしながらキスをしてくれた。
「い、いってらっしゃい」
「ふふふっ、ありがとうございます。いってきますね!」
よく泊まりにくる真知子ちゃんが買ったお布団は、それはもうフッカフカなので、そちらで寝ていただいた。
私は彼が眠れたのを確認して、少しネットで調べものをすることにした。
「ユリコ・カガミヤ」
彼女の音楽は煌びやかで雄大、表現力も技術力も抜群で、ファンが多い。今朝見つけた記事では、KEIのピアノの音色は、そのコピーだと書かれていた。
温かい演奏。確かに似ている。でも違う。うまく言えないけど。
彼の力になりたいのに、どうしたら力になれるのか、分からないまま、夜が更けていった。
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翌朝は冷蔵庫に何も入っていなかったので、近くのパン屋さんでパンを買ってきた。パンとコーヒーで朝ごはん。質素だけど許してもらおう。今日の仕事の後は買い物かな。
「パンも買いに行かせてすまない」
「いいですよ!加賀宮さんよく寝てたし、朝のお散歩すがすがしくて良かったですよ」
やっぱり少し元気がない。この部屋にピアノがあったらよかったのに。
「じゃぁ私仕事行ってきますね!合鍵置いておきます」
「ありがとう」
「あ、あの!いってきますのキスとか…してもいいですか」
「ははっなんだよそれ」
久々にみる彼の笑顔にきゅんとする。私はこうして、彼の傍で、恋人としてしかできないなにかを探していこう。
「いいじゃないですか乙女の憧れですよ?」
ねだる私に根負けして、苦笑いしながらキスをしてくれた。
「い、いってらっしゃい」
「ふふふっ、ありがとうございます。いってきますね!」