君だけに捧ぐアンコール

第二楽章

　翌日は久しぶりの休日で、残業ばかりで出来てなかった家事を済ませた。家事は大好きだ。叔父夫婦は忙しく、家政婦さんと過ごすことも多かったので家事は一通り教えてもらった。中でも掃除は一番好きで、部屋がきれいに片付くのがとても気持ちいい。洗濯が終わったところで、一息つくことにした。インスタントコーヒーを淹れて、昨日買ったＫＥＩのＣＤを聴く。

　帰宅してからＫＥＩについて再度調べたが、新情報はあまり得られず。顔さえはっきりと写ったものはなかった。
　だが彼が出した一枚だけのＣＤは、とても素晴らしかった。掃除したばかりの部屋で、優雅にコーヒーを飲みながら聴くには最高のＢＧＭだ。

(こんな素敵な音が出せるなんて…どんな人だろう。)

　客席から見ても背が高いと感じた。顔つきは分からなかったが、整った顔をしているような気が…。
そんな感じの人最近会ったな…。

『ばーか』

　そうだった。あの謎の嫌味なヤツだ。
あの人いったい何なの。なんで見ず知らずの人に馬鹿とか言われないといけないのか。ああ私の清々しい休日が。
　折角ＫＥＩのＣＤに感動していたところだったのに、余計なことを思い出してしまった。