幼なじみじゃ、いられない。



「送って行かなくて本当に大丈夫?」

「うん!買い物ついでにママが来てくれるらしいし、ここで全然大丈夫」


公園を出てすぐの所であたしが聞くと、美波ちゃんはにっこり笑って返事した。


「今日は本当にありがとう。すっごく楽しかった!空井くんも久しぶりに会えて嬉しかった、ありがとう」


「それじゃあ、また明日ね」と、美波ちゃんが続けて、あたし達は笑顔で手を振ってバイバイした。



「俺らも帰ろっか」

「うん、そうだね……」


いつも通り優しく微笑むりっくんに、あたしが頷くと、歩き出しながらそっと手を繋がれてドキッとする。


少しだけ、こうして手を繋ぐのにも慣れてきた。

だけど今日は、いつもよりも緊張する気がする。

その理由は──。



「……安心した」

「え?」

「ひな、友達と同じクラスになれなかったって言ってたから。牧田さんがいて良かったなって」


あ、そっちか……。

なんて心の中で思いながら、「うん」と返事する。
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