幼なじみじゃ、いられない。

「今朝までほんと絶望してたもんね。美波ちゃんが話かけてくれて、本当に良かったよ」


あたしが苦笑しながら言うと、りっくんはそんな様子を見守るように微笑んで。


「正直、少し嫉妬しそうになったんだ。大地とも同じクラスって聞いて」


呟くくらいに静かな声で言ったりっくんの言葉に、あたしは「えっ」と声を漏らした。


「ごっ、ごめん!そういえば大地くんと同じクラスだったって言ってなかったよね……」


どうしてだろう。

まるで隠し事がバレた時のように、鼓動がドクンドクンと大きくなる。


繋いだ手のひらから焦りが伝わっていそうな気がして、りっくんの顔を見ることが出来ない。

そこに、


「でも……嬉しかった」


振ってきたりっくんの言葉に、顔を上げる。


「ひなが牧田さんに、大地のことを“もう好きじゃない”って言った話」


「ちょっとは自惚れてもいいのかな」と、照れくさそうにはにかむりっくんは、嬉しそうで。

思わずあたしも少し照れる。

そして同時に、そんなりっくんの様子にあたしも嬉しくなる。


……のに、何故か胸の奥が少し苦しい。
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