幼なじみじゃ、いられない。
『ひなちゃんって、藤沢くんのこと好きじゃなかった?』
今朝、久しぶりに再会した美波ちゃんに、そう訊ねられた。
『そう、だね……』
確かにずっと、好きだった。
美波ちゃんの記憶に残るくらい、純粋に真っ直ぐ、好きだった。
『でも、今はもう好きじゃないよ』
過去の自分を肯定しながらも、誤解されないように美波ちゃんに続けた言葉。
大地くんのこと、今はもう好きじゃない。
自分の言葉に、嘘をついたつもりなんてない。
なのに、喜んでくれるりっくんの姿に罪悪感を覚える……のは、こうしている今もまだ大地くんのことを考えてしまっている自分がいるから。
「ひな、ひな、大丈夫?」
「えっ?あっ……」
りっくんの呼ぶ声にハッとして前を見ると、角を曲がればもうすぐ家の前……という所まで来ていて。
「ごめん」と謝ろうとしたその瞬間、あたしの目の前にりっくんが立った。