幼なじみじゃ、いられない。

そんな表情に、何だか少し悪いことをした気分になりながらも、私は頭を下げて立ち去ろうとした。

だけど、


「あっ、待って。いちご、いちごあるから少し貰っていって」


「えっ」と、あたしが声を上げるより先に、おばあちゃんはあたしに背を向けていて。

どうしようと思った次の瞬間だった。


「うっ……」


急によろめいて、壁に手を打ったおばあちゃん。

もう片方の手は腰に当てられ、痛いところは明確だった。


「大丈夫ですかっ!?」

「あぁ、大丈夫。ごめんねぇ、今朝からちょっと痛みが戻っちゃったみたいで……」


あたしが慌てて駆け寄ると、おばあちゃんは痛みに歪んだ顔を笑顔に変え、返事してくれた。


大丈夫……と、言われても、とてもそうは見えない。

大地くんは出かけているって言っていたし、家の中には他に人の気配もない。

いちごを断ったとしても、このままおばあちゃん一人で部屋に戻ることは難しいんじゃないだろうか。


「……あの、お部屋まで支えていきましょうか?」


放っておくことなんか出来なくて、あたしはそう声をかけた。
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