幼なじみじゃ、いられない。
多分、あたしなんかが軽々しく踏み込んじゃいけない話。
踏み込む理由も、もう私にはない。
大地くんのお家がどうなっていても、何か理由があって雰囲気が変わってしまったのだとしても、あたしにはもう関係ない。
……頭ではそう思っている、はずなのに。
「あ、あのっ!」
あたしは足を止め、大地くんに声をかけていた。
「お家で何か、あったりしたの……?」
あたしの問いかけに振り返り、「は?」と大地くんは短く口を開く。
「あー……やっぱ余計なこと言ってんじゃん」
「ううんっ、そうじゃなくて」
「別に何もないし、もしあってもひなには関係ない」
「っ……」
冷たく言い放って、再び歩き出す大地くん。
関係ないなんて、そんなの自分が一番そう思ってる。
それに、冷たくあしらわれて、全く胸が痛まないわけじゃない。
でも──。
「まって……って、わっ⁉︎」
大地くんを追いかけるように歩き出したあたしは、急に立ち止まった彼の背中に顔をぶつけた。