幼なじみじゃ、いられない。
大地くんはあたしの後ろの席。
嫌でも近付いてくる気配に緊張なのかドキドキして、上手く呼吸が出来なくなる。
昨日のこと、大地くんはどう思ったんだろう。
変に勘違いして、何か言われたらどうしよう。
ドサッと荷物を置く音。
変な冷や汗が流れて、あたしはギュッと目を瞑る、と──。
「ひなちゃん、トイレ行こ」
あたしの腕を掴んで、立ち上がらせた美波ちゃん。
「違う場所で話聞くね」
あたしにだけに聞こえる声で呟いて、教室から連れ出してくれた。