幼なじみじゃ、いられない。

「あ、大地くんには渡さないかもしれないけど、りっくんには用意するから!明日渡しに来てもいいかな?学校から帰ってくるの、今日と同じくらい?」


思ったよりも長居をしてしまったから、帰ったら急いで作らないと。

そんなことを考えながら、りっくんに問いかけた。すると、


「それはやっぱり、今年も義理?」

「え?」

「今年はひなの本命が欲しいって言ったら、困るかな?」


何でもないことのように、さらりと告げられた言葉。

でも……。


あたしの、本命が欲しい……?


「え……ごめん、それってどういう意味……?」


言われたことが、上手く理解出来なくて。

戸惑いながら尋ねると、りっくんは優しく微笑んで。


「ひなのこと、好きだってこと」

「……え」

「ひなのこと、女の子として好きだよ」


ふたりっきりの部屋に、りっくんの言葉が響いた──。
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