幼なじみじゃ、いられない。
「お待たせ」
少しして、アイスコーヒーを手にしたりっくんが戻ってきた。そして、
「はい」
あたしの前に差し出されたのは、チョコチップクッキー。
「パッケージが可愛かったから」と、続けて笑うりっくんの言う通り、テディベアのプリントが入っていて、とても可愛くて。
あたしは受け取りながら、「ありがとう」と微笑んだ。
そんなあたしの様子にりっくんも、ホッとしたように微笑む。
「体調は?大丈夫?」
「あ、うん……」
「良かった」
真っ直ぐ向けられるりっくんの安堵した表情に、
『何も知らずに、ひなちゃんのことを心配してる空井くんが可哀想』
美波ちゃんの言葉が重なって、ズキンと胸の奥が痛んで。
「あのねっ……」
あたしは俯いて、ギュッとスカートの裾を握りながら、声を上げた。
あたしが何も言わなければ、きっとりっくんはずっと一緒にいてくれる。
だけど、こんな罪悪感を抱えて一緒にいるのは、あたしだって耐えられない。
「昨日、ほんとはね、大地くんと一緒にいたのっ……」