幼なじみじゃ、いられない。
りっくんが今、どんな顔をしているかは分からない。
顔を上げて、確認する勇気もない。
「昨日大地くんが早退して、先生に届けて欲しいって頼まれたものがあって、大地くんの家に行ったの。それで……」
ドクンドクンと自分の鼓動の音がうるさい。
「それでその後、家まで送ってくれるってことになって……」
何をどう説明すればいいのか分からない。
だけど、黙ってはいられなくて。
「ごめんなさい」と、震える声を更に絞り出そうとした時──。
「……うん、知ってる」
口を開いたのは、りっくん。
目の前から聞こえてきた言葉に、あたしは上げられなかった顔を反射的に上げる。
するとりっくんは、寂しそうに微笑んで。
「あいつの家に行ったとか、そんな詳しくは知らなかったけどさ、ひなから話があるって聞いて、大地絡みの……そういうことかなって、薄々気づいてた」
「っ……」
少し目線を伏せて言うりっくん。
その様子から、りっくんが傷付いていることが伝わってきて、胸が苦しい。
申し訳なさから再びうつむきかけた、その時──。