幼なじみじゃ、いられない。
「どう?大丈夫?」
「あ、うん、ありがと。あたしからも先生に連絡しておくね」
軽く微笑んで返事すると、
「じゃあ俺も早く帰れるように調整する。ひなと一緒に練習したいし」
ニコッと笑って、りっくんが言った。
その表情に、少しも胸が痛まないと言ったら嘘になる。
でも、今さら大地くんとどうにかなりたいわけでもなければ、りっくんを失いたくない気持ちも大きくて。
だから、りっくんがいいと言ってくれるなら、あたしは別れられなくて……。
5分ほど歩いた先のバス停で足を止めると、すぐにバスの姿が見えた。
「結構ギリギリだったね」なんて話していると、急にりっくんがギュッと強く手を握った。
「正直言うと、今結構後悔してるんだ。ひなと一緒の高校にしなかったこと」
「え?」
「一緒だったら、あいつのこと考える暇なんかないくらい、側にいるのに」