幼なじみじゃ、いられない。


……りっくんに、告白されちゃった。


りっくんの家を出て、トボトボと歩くあたしの頭はボーッとしてる。

あれからのことを鮮明には覚えていない。

ただ返事を保留にするのがやっとで、急いで帰る支度をした。


ちょっと感じ悪かったかなとも思うけど……。


生まれて初めての告白。

しかも、相手があの『りっくん』で、嬉しくないわけがない。

でも、全然そんなこと予想してなくて。


「ど、どうしよう……」


よろよろと電柱に向かっていき、ため息をついた時だった。



「大地くんの家ってこの辺だったんだね」


前方から聞こえてきた名前に、ハッとして顔を上げる。

見ると、こっちに向かって歩いてくる、一組の男女。


青いチェックのリボンのブレザーは、言わずと知れたうちの制服で。

サラサラの長い黒髪、少し離れた距離からでも分かる白い肌に、小さな顔。


見た瞬間に誰だか分かった。

それは、うちの学年で……いや、もしかしたら学校で一番可愛いと噂される、椎名さん。


そして、その隣にいる人は──大地くん。
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