幼なじみじゃ、いられない。

青いチェックのネクタイは下がり、パンツも緩めに着崩した制服。

180センチはありそうな身長に、椎名さんにも負けないくらいの小顔、長い手足。

スッと通った鼻筋に、ハッキリとした二重の目。特に何もしてないだろう黒髪さえ、整って見える。

りっくんが温かな昼のイメージなら、大地くんは冷たい夜のようなイメージ。


……ううん、イメージだけの話じゃない。


「……あ」


視線を奪われ、立ち尽くしていた。

気付いた時には、ふたりは目の前まで歩いてきていて。


大地くんがあたしを見て、ビクッとしたあたしは思わず目を逸らした。すると、


「なに?知り合い?大地くんのいつかの彼女?」


首を傾げて聞いてきたのは、椎名さん。

初めて喋っているのを聞いたけど、声まで綺麗。


そんなことを思った、次の瞬間だった。


「知らね」


冷たく吐き捨てるように言われた言葉に、身体が固まる。


「だよね、大地くんの好みのタイプじゃないもんね」


追い討ちをかけるように、椎名さんが続けて。

あたしの横を通り過ぎていくふたりに、肩にかけたトートバッグをギュッと握る。
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