幼なじみじゃ、いられない。
終わりと始まりのバレンタイン。
「千明ちゃん、佳穂ちゃん、おはよ!はいこれ、ハッピーバレンタイン!」
紙袋からラッピングした二つの袋を取り出して、ふたりに渡す。
「えっ、なになに?もしかして手作りとか?」
「うん、味の保証はしないけど」
昨日あれから、家に帰って作ったガトーショコラ。
色々あって集中出来なかったから、正直あまり自信はないのだけど……。
「嬉しい!わたしちょうど朝食べて来られなかったんだ!今、食べていい?」
と、言いながら既にラッピングのリボンを解いている佳穂ちゃん。
「んー!うまっ!千明、これガチで美味いよ!」
ガトーショコラをひと口頬張るなり、目を丸くして感動してくれた佳穂ちゃんにホッとする。
「あ、そうだ!うちらもひなにチョコあるんだよね」
「え?」
「昨日一緒に遊べなかったでしょ?だから、千明と一緒にひなに買ったんだ」
「はい」と渡されたのは、さくらの花柄の包みのチョコレート。