幼なじみじゃ、いられない。
あたしは「うん」と頷きながら、ぼんやり考える。
『何も』なければきっと、あたしも同じだった。
彼女がいても、関係ない。今年が最後と決めて、大地くんにチョコを渡しに行っていたかもしれない。
だけど、今年は──。
「もしかしてひな、誰かにチョコ渡したりするの?」
「えっ?」
物思いにふけっていたあたしの横から、ずいっと顔を出して聞いてきた佳穂ちゃんにビクッとする。
「な、なんで?」
「だって、ひなのチョコめちゃくちゃ美味しいもん。これ、本命にあげるために頑張ったんじゃないの?」
身を乗り出して不敵に笑う佳穂ちゃんに、たじろぐ。
チョコ作りは毎年してきたから、ただ単純に慣れてるだけ……なんだけど。
「……実は昨日、告白してきてくれた人がいて……」
「「ええっ!?」」
言うか言うまいか、少し悩んで。
意を決してあたしが口を開くと、ふたりは目を丸くして驚いた。