幼なじみじゃ、いられない。
昨日、チョコブラウニーを作りながら、りっくんへの返事をどうするか考えた。
頭が良くて、何でも出来て、容姿もカッコ良くて、何より優しいりっくん。
好きにならない理由は、どこにもないと思う。
実際、千明ちゃんと佳穂ちゃんにりっくんのことを話したら、とても羨ましがられた。
本当にあたしには勿体ないくらい、素敵な人。
そんなりっくんがあたしのことを好きなんて、奇跡みたいなことだと思う。
今まで馬鹿みたいに大地くんしか見てなかったから、りっくんを意識したことがないだけで。
意識すれば、大地くんよりもりっくんを好きになるんじゃないかって、そう思った。
だから──。
学校から帰ってきて、一旦家に戻ったあたしは荷物と引き換えに、用意していた紙袋を持って、家を出た。
そして足を止め待つのは、りっくんの家の少し前。
りっくんが確実に帰っているだろう時間帯に家まで行ってもいいのだけど、先生に会うのは恥ずかしくて。
学校から帰ってきたりっくんに渡そうと、待ち伏せすることにした。