幼なじみじゃ、いられない。

確かにそう、大地くんしか見ていなかった。

子どもの頃には純粋に『好き』だと言ってしまっていたし、毎年チョコを渡そうとしていたり、あたしの気持ちはバレバレだったと思う。

だけど、でも──。


「そんな言い方っ……」

「あっ、大地くん!こんなところに居たんだー」


カッとなって、あたしが言い返そうとした瞬間。

間を割るように声をかけ、パタパタとこっちに向かって走ってきたのは椎名さん。


「もぉ、連絡したのに返事ないから、探して学食まで行ったんだよ?……って、あれ?この子この前の……?」


大地くんの腕に触れながら、椎名さんはあたしを見る。


「なに?やっぱり知り合いだったの?」

「あぁ……ガキん頃から一緒の幼なじみ」

「え、この前知らないって言ってたのに?」

「忘れてたんだよ」


軽く返事する大地くんに、「何それ」と怪訝そうに眉を寄せる椎名さん。

そしてあたしも、椎名さんと同じことを心の中で思う。


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