幼なじみじゃ、いられない。

***



「何かあった?さっきからずっとボーッとしてる」


声をかけられ、ハッと顔を上げると、目の前にあったのはりっくんの姿。


放課後、駅ナカのコーヒーショップ。


「ハニーミルクラテで良かったっけ?」

「あっ、ありがとう。いくらだった?」


両手に持っていたカップをテーブルに置いて、目の前に腰掛けるりっくん。

ラテの料金を払おうと、カバンから財布を取り出すけれど、


「大丈夫。今日は俺に奢らせて」

「ううん、あたしが払うよ!誘ったのあたしだし」

「だからだよ。ひなが誘ってくれて嬉しかったから、今日は奢らせて」


にこりと微笑んで言うりっくんに、あたしは「うっ……」と言葉を詰まらせる。

そんな顔で、そんな言い方はずるい。


「……ありがとう。でも次はあたしが払うからね?」


負けたあたしが言うと、りっくんは微笑んだまま「楽しみにしとく」と、返事して。


「それで、ひなから会いたいとか、なんかあった?」


と、改めて聞いてきた。
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