幼なじみじゃ、いられない。
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「何かあった?さっきからずっとボーッとしてる」
声をかけられ、ハッと顔を上げると、目の前にあったのはりっくんの姿。
放課後、駅ナカのコーヒーショップ。
「ハニーミルクラテで良かったっけ?」
「あっ、ありがとう。いくらだった?」
両手に持っていたカップをテーブルに置いて、目の前に腰掛けるりっくん。
ラテの料金を払おうと、カバンから財布を取り出すけれど、
「大丈夫。今日は俺に奢らせて」
「ううん、あたしが払うよ!誘ったのあたしだし」
「だからだよ。ひなが誘ってくれて嬉しかったから、今日は奢らせて」
にこりと微笑んで言うりっくんに、あたしは「うっ……」と言葉を詰まらせる。
そんな顔で、そんな言い方はずるい。
「……ありがとう。でも次はあたしが払うからね?」
負けたあたしが言うと、りっくんは微笑んだまま「楽しみにしとく」と、返事して。
「それで、ひなから会いたいとか、なんかあった?」
と、改めて聞いてきた。