幼なじみじゃ、いられない。

「幼なじみって言っても、もう全然話したりしてないよ」


あたしは箸を持ち直して、ふたりに苦笑にも似た微笑みを返す。


それこそ幼稚園から小学3年生の頃までは、一緒に遊んだり仲良くしていた。

だけど、ちょうど7年前の明日、小学3年生のバレンタインを境に、大地くんとあたしは話すこともなくなった。


……ううん、正確に言えば、7年前のバレンタインから、大地くんはあたしを避けるようになった。


「へぇ、そうなんだ」

「なに、佳穂ってばひなと藤沢くんが仲良かったら、紹介してもらおうとでも思ったの?」

「別にそういうわけじゃないけど……」


千明ちゃんに詰め寄られ、佳穂ちゃんは少し顔を赤くしながら目を逸らす。


ふたりとは高校に入ってから友達になったのだけど、佳穂ちゃんはずっと大地くんのことをカッコいいって言っていたっけ。

一方千明ちゃんは、恋とかそういうのに全く興味がない感じで。
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