幼なじみじゃ、いられない。


「やめとけやめとけ、藤沢くんとか佳穂が傷付くだけだって。ね、ひな」

「う、うん……」

「だから、そういうのじゃないってば!」


ぷうっと頬を膨らませ、否定する佳穂ちゃん。


「てか、次の彼女椎名さんなんでしょ?ハードル上がりすぎて、絶対無理だし」


椎名さんというのは、1年生で一番可愛いと言われている他のクラスの女の子。

黒くてサラサラのロングヘアが目を引く清楚系女子で、実は社長令嬢という噂まで耳にする。


ふて腐れたように椎名さんの名前を出した佳穂ちゃんだって、ふんわりと巻いて耳の下で結われた髪が女の子らしく、くりくりと大きな目をしていて可愛い。

ついでに言えば千明ちゃんも、ショートカットに眼鏡をかけた読書女子だけど、凛とした綺麗な顔立ちをしている。


……だから、あたしから見てみれば、ふたりともレベルの高い女子だと思うけど。


「椎名さんだったら1週間……いや、1ヶ月くらい続いたりするかな?」


ほんの少し残念そうで、でも興味からかどこか楽しそうに問いかけてきた佳穂ちゃんに、あたしは「どうだろう……」と、控えめに笑って返事した。
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