幼なじみじゃ、いられない。

相手が椎名さんだろうが、どんなに可愛い女の子でも、きっと長くは続かない。


佳穂ちゃんに適当な返事をしながら、心の奥底ではそう思っている。


大地くんが女の子に本気になることなんてない。

……ううん、大地くんが女の子に本気になったところなんて見たくない、の方が正しいかもしれない。


だって、あたしは──。



「あ、そうだ、話変わるけど今日の放課後遊ばない?チョコクレープの割引券、明日までなんだよね」

「えっ、行く行く!」


机の上に、2枚の割引券を出した佳穂ちゃん。

ノリ良く返事した千明ちゃんとは反対に、あたしは「ごめん」と謝った。


「なに〜?もしかして、明日に向けてチョコでも作るの?……って、そっか今日水曜日か」


あたしが答えるよりも早く、自ら気付いた佳穂ちゃん。


「あ、ピアノの日だっけ?」


千明ちゃんの言葉に、あたしは「うん」と頷いた。
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