幼なじみじゃ、いられない。
まさかの新学期。
色んな国の色とりどりの万国旗が空を彩る。
忙しない音楽に、声援が広がる。
──これは、幼稚園の運動会。
競技の最後を飾る、年長さんによるリレー。
あか組としろ組に分かれた、あか組。
あたしの順番は最後から2番目。
あたしの前のまやちゃんが走り出して、コースへと出る。
受け取ったバトンのリードを広げ、一番を走り抜けていくまやちゃん。
こっちへと向かってくるにつれ、ドキドキと鼓動が速くなる。
大丈夫かな。
追い付かれずに走り切れるかな。
そんな迷いを抱えていると、あっという間にまやちゃんは走って戻ってきて。
「ひなちゃん、がんばって!」
伸ばした手のひらにポンとバトンを乗せた。
「うん!」
大きく頷いて、走り出す。
大丈夫。
いっぱい練習したもん。
絶対最後まで逃げ切れる。
──そう信じて頑張ったのに、
「あっ!」
踏んだ土が悪かったのか、ずるっと足が滑って。
あたしはズサっとそのままこけてしまった。