幼なじみじゃ、いられない。
「あー、やっぱり彼氏なんだぁ。いいなぁ。春休み中にも遊んだりしたの?」
隣に並んで、歩きながら話しかける佳穂ちゃん。
「……そんなには会えなかったけど」
赤くなりながら、あたしがボソッと小声で答えると、「会ってんじゃん!いいなぁ〜」と、さっきよりも大きな声で言われた。
「わたしなんか、彼氏とか全然無縁な春休みだったし。遊んだの、ひな達とだけだよ?」
ため息混じりに、佳穂ちゃんは肩を落とす。
「でも、千明ちゃんと3人で遊んだのも楽しかったよね」と、返すと、
「楽しかったけど……そんなことはいいの!ひなの話で彼氏出来た気になるから、もっと聞かせてよ」
「ええー……」
佳穂ちゃんのとんでもない無茶振りに、あたしは素直に嫌がる声を上げた。
多少からかわれつつ、佳穂ちゃんと喋りながら歩いていると、いつの間にか学校へと着いていた。
いつもより早く登校してきた……にも関わらず、玄関前には大勢の人の姿。