幼なじみじゃ、いられない。

人集りの理由は──クラス分け。

みんなが集まってワイワイと騒いでいるあの中心のホワイトボードには、きっとクラス発表の用紙が貼られている。


「うわ、なんか緊張してきた」

「だね……」


気さくで明るい性格で、友達の多い佳穂ちゃんでさえ緊張するんだもん。

あたしはもっと緊張してる。


もし、仲の良い友達がいないクラスだったら……。

そう考えると怖くて、なかなか足が前へと進まない。そこに、


「あっ、ひな!佳穂!」


ぶんぶんと手を振りながら、人集りから出てきたのは千明ちゃん。


「ふたりともおはよ。佳穂、また同じクラスだったよ」

「えっ、ガチで?」

「うん」


頷く千明ちゃんに、「腐れ縁すぎだし」なんて口では言いながら、どこかホッとした様子の佳穂ちゃん。

対するあたしは落ち着くどころか、さっきよりも鼓動の音が大きくなってる。


だって、佳穂ちゃんだけに言うってことは……。


「あ、あたしは?」

「ひなは……別のクラス」
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