幼なじみじゃ、いられない。

誰だか分からないけど、先生なら今いないから、早く出て行ってほしい。

声をかけられたりしたくなくて、あたしは寝ているフリをしようと目を閉じた。

だけど、


ゆっくりと近付いてきた足音に、シャッ……と静かにカーテンを開く音。


まさか近付いてきた人物に、『えっ』と驚いたのと同時。



「……ひな」



他には誰もいない空間に、響いた声。


呼ばれた名前とその声に、思わず身体がビクッと反応しそうになった。

だって……。



「寝てんの?」


小声で小さく問いかけられた質問に、あたしはさっきよりもずっと、返事することが難しい。


え、うそ、なんで、本当に?


静かな室内とは対照的に、色んな感情が入り混ざり合ってうるさい心の中。


目を閉じているから、詳しい状況は分からない。

だけどギシっとベッドが沈む音がして、すぐ近くに感じる人の気配。


ちょ、ちょっと待って!


ドクンドクンと胸の鼓動は大きくなるばかりで、呼吸の仕方さえ分からなくなりそうで。


だめ、これ以上寝てるフリし続けられない。


どうしようと焦りながら、目を開けてしまおうかと思った時──。
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