幼なじみじゃ、いられない。
再会と変わったもの、変わらないもの。
恐る恐る、教室の引き戸から中を覗く。
教室の中には、数えられるくらいの人の姿。
……大地くんはまだ来ていない。
彼がいないことと、少ない人の姿にホッとしたあたしは、教室の中に足を踏み入れた。
いつもより早く登校してきたのは、今朝もりっくんと一緒だったから。
昨日体育館で倒れて早退した話をしたら心配してくれて、途中までだけど一緒に行こうと家の前まで迎えに来てくれた。
昨日あんな話をしたからいけなかったのか、仲の良い友達たちと離れてしまったことなんかを話しながら……結局彼のことだけは言えなかった。
机の上にカバンを静かに置きながら、小さく息を吐く。
保健室まで荷物を持ってきてくれた人、それは間違いなく大地くんだった。
そして先生の話から、倒れたあたしを保健室に運んでくれたくれたのも大地くんだったと知った。
それに……保健室での、あの『ごめん』という言葉。
正直、あれからずっと大地くんのことばかり、考えている。
彼の行動も、発言も何もかも理解が出来なくて──。