幼なじみじゃ、いられない。

「えっ、そんなっ、付き合ってなんかないよ!!」


ガタンッと音を立て立ち上がり、思わず大きな声で否定すると、美波ちゃんはキョトンと驚いた顔をした。

まだ数人しかいないクラスメート達の視線も、こっちに集まって。


「……あ、ごめん」


あたしが恥ずかしさに顔を真っ赤にして腰を下ろすと、「ううん、私こそ変なこと言ってごめん」と、謝る美波ちゃん。

そしてあたしの前の椅子を引いて、そこに腰掛けた。
  

「私、実は子どもの時から藤沢くんって苦手だったんだよね。なんていうの、意地悪?やんちゃ?だったじゃん?」


……確かに。美波ちゃんはあたしよりもおっとりしたタイプで、大地くんにからかわれて泣かされることも多かった気がする。


「それが久しぶりに会ったら、何かクール男子に雰囲気変わっててびっくりしたんだけど、ひなちゃんに優しいところは変わってないよね」

「……え?」


あたしに優しい……?

思いがけない美波ちゃんの言葉に、目をパチパチさせる。


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