地獄で待ってて
私は深く考えず感情のまま彼女の問いに頷く。
「良かった、断られるかもって心配してたんだ!」
私の答えに彼女の笑顔がより晴れやかになる。
「じゃ、行こっか」
「えっ?」
―― それは一瞬だった。
彼女が私の手を握った瞬間辺りが真っ暗になった。
先程まで屋上だった場所は炎に包まれ
青空は黒と赤を混ぜたような色に。
風の音は叫び声、涙声、に。
冷たい風は炎の熱気を取り込んだ息苦しい風に。
正に地獄。
絵に描いたような地獄が私の目の前には広がっていた。