地獄で待ってて
「君は地獄に来るの初めてじゃないの?」
「…… ははっ、そういう質問か。あなたらしいっちゃ、あなたらしい。まぁ初めてではないよ」
「ていうか、私ここで生まれてここで育ったし」
思わずその場で固まる。
「えっ、」
その発言はさすがに驚く。
「だよね~。その反応が普通。っていうか驚くの遅すぎない?地獄に来た時点で驚いて欲しかったな」
「ごめん」
「謝らないでよ。責めてるわけじゃないんだから。むしろ君のそういうとこ私好きだよ」
そう言って屈託なく笑う彼女。
彼女の笑顔は地獄においても、いや、むしろ地獄で見ると更に輝いて見えた。