敏腕パイロットは契約妻を一途に愛しすぎている

　和磨のスマートフォンから電話が掛かってきている。

　離婚したときに連絡先は消去したけれど、番号は今でも覚えていた。

　どうして私に電話を？

　もちろん出るつもりはない。振動を続けるスマートフォンを握ったままディスプレイを見つめていると、しばらくして留守電に切り替わり着信が切れた。

　すると今度は一件のメッセージが届く。また和磨からだ。どうやら彼は私の連絡先を消してはいなかったらしい。

　表示されたメッセージは『話したいことがある』と簡潔なもの。すぐに次のメッセージが送られてきて『会いたい』という文字を見た瞬間、体が震えた。

　いったいなにを考えているの……？

　震える手で握りしめるスマートフォンをじっと見つめていると、やがて画面が暗転した。そこに映った私の顔はひどく怯えて見える。

　すぐに電源キーを押して画面をつけると、和磨の電話番号をブロックする。次にメッセージアプリを開き、そちらも受信設定を変えて和磨からの連絡が届かないようにした。