敏腕パイロットは契約妻を一途に愛しすぎている
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今日の予約は午後四時がラスト。一時間ほどで施術を終えると店内の清掃や売上管理を済ませてから店を出た。
向かったのは和磨の経営する美容室。店の前で待っていると、閉店時間の午後六時を三十分ほど過ぎてから和磨が現れた。
ふたりで向かったのは近くにあるコーヒーチェーン。カウンターでそれぞれ飲み物を注文してから窓際の四人掛けの席に腰を下ろす。
ふと外に視線を向けると街路樹の葉がそよそよと揺れていた。今日は朝から天気がぐずついていて、午後になるとまとまった雨が降り始めた。強い風も吹いていたけれど、雨とともにそれも今ではおさまっている。
今夜のうちに雨雲はどこかへ消えて、明日にはこの時期にしては暖かく気持ちのいい冬の青空が広がると天気予報が報じていた。
そんな天候と同じように、和磨に復縁を迫られてからもやもやしている私の気持ちも今夜のうちにはどこかへ消えて、明日にはすっきりとしていたい。そのためにもこの話し合いは大切だ。
匡くんには和磨に会うことを伝えていない。きっと反対されるだろうから、友達と食事をすると嘘をついてしまった。
匡くんは〝俺がなんとかする〟と言ってくれたけれど、やっぱり和磨とのことは私自身で解決させないといけないから。