敏腕パイロットは契約妻を一途に愛しすぎている
「この抱き枕からこっちに入ってこないでね」
「入らないよ。ついでにそのぼろぼろの抱き枕にも触らない」
「ぼろぼろって言わないでよ」
子供の頃から愛用している私の大切な抱き枕だ。これがないと私は眠れないので一緒に匡くんの家に引っ越してきた。
「ほら、早く寝るぞ」
匡くんが寝返りを打ち、私に背中を向ける。それからしばらくして寝息が聞こえてきたのでどうやら本当に眠ったらしい。
私も最初こそ動揺していたが朝から続いた引っ越しの疲れもあり、気が付くとすーっと眠りに落ちていた。