敏腕パイロットは契約妻を一途に愛しすぎている
『もうすぐ杏の誕生日だろ。プレゼントになんでも買ってやるよ』
「うーん、そう言われても特に欲しいものないからなぁ」
『それじゃあ俺が選んでいい?』
「えっ、プレゼントなんていらないよ」
匡くんの誕生日は八月なのでもうとっくに過ぎている。再会する前だったから私はなにもプレゼントを渡せていないのに、私だけが貰うわけにはいかない。
『俺が渡したいだけだから気にするな。必要なければ捨ててくれて構わないし』
「そんなことしないよ」
せっかくのプレゼントを捨てるなんて考えられない。頂けるのならありがたく頂戴しようと思う。
『当日は婚姻届を出しに行ったあとでちゃんと祝ってやるからな』
「うん、ありがとう」
素直にお礼を伝える。いくつになっても誕生日を祝ってもらえるのはやはり嬉しい。
昨年は元夫が私の誕生日を忘れていたのか、覚えていても祝ってすらもらえなかったのかわからないけれど、ひとりぼっちの寂しい誕生日を過ごしたから。
今年は匡くんに祝ってもらえるのが実はちょっと楽しみでもある。
ちょうどクリスマスの日だから私もなにかプレゼントを用意しようと思う。まだ二週間あるからその間に選べばいい。
『杏、そろそろ切るけど二度寝するなよ。しっかり起きて朝食もしっかり食べて、仕事遅れないようにな』
「わかってるよ」
まるでお母さんみたいなことを言う匡くんに思わずくすりと笑ってしまう。寝起きのぼんやりとした感覚も気付けばなくなっていて目が冴えている。
匡くんとの電話を終えた私は天井に向かって両手を伸ばしてすっきりすると、朝食の支度をするべく寝室をあとにした。