敏腕パイロットは契約妻を一途に愛しすぎている
〝はい〟以外は認めない
十二月二十四日、クリスマスイブ。
午後八時に仕事を終えた私は通い慣れた駅までの道を歩いていた。その途中にある商業施設ではこの時期恒例のウィンターイルミネーションが開催されている。
フランスのクリスタルブランドのグラスで作られた巨大なシャンデリアや、ライトアップされてラグジュアリーな雰囲気の巨大なクリスマスツリー。クリスマス雑貨などが購入できるマルシェも開催されていて、周辺はとても賑わっていた。
いつもは通り過ぎてしまうけれどクリスマスイブということもあり、雰囲気だけでも楽しもうと足を止める。
土曜日ということもありとても賑わっているが、やはり恋人たちの姿が目立つのかもしれない。仕事終わりのくたびれた状態の私は少し浮いている気がした。
ひとりで寂しくクリスマスツリーを見ていないで早く帰ろう。
匡くんはもう帰宅しているだろうか。今日は午前から夕方までの国内線のフライト業務だから帰りはあまり遅くならないと言っていた。
クリスマスイブだけれど特にふたりでなにかをする予定はない。明日のクリスマスに婚姻届を提出してから私の誕生日祝いも兼ねてちょっと豪華なディナーをする予定になっている。
とうとう明日、私たちは夫婦になるんだ……。