八千代くんのものになるまで、15秒


今までも八千代くんに翻弄されることはあったけれど、ここまでスキンシップは激しくなかったような……



「倉木、どっち?」



きゅ、と八千代くんの指先に力がこもる。
それに反応して、私の体もビクッと揺れた。

や、八千代くんが他の子に触れる、とか、
……想像するだけでも、胸が苦しくなる。

だから、




「っ、こまる、」




本当に小さな声だった。

私のそんな言葉に八千代くんは満足そうに笑って、「知ってる。」なんて返して。



「触らないし、触らせないよ。そーしてって倉木が自分で言ったの、覚えてない?」
「あ……」



あの時の、同じ電車に乗って帰った時のことを言っているのかな。
確かに、私あの時、"さわらせないで"って言ったけど……
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