八千代くんのものになるまで、15秒
「別に、倉木の言うこと聞かなくてもいーんだけど……」
「う、」
「絶対、泣きそうな顔するだろうから」
「……」
「そんな顔、倉木にさせたくないしね」
ね、ねぇ、それって、
「それって、どういう気持ちで言ってるの?」
絡まった指を解いて、八千代くんは意地悪く笑った。
「倉木こそ。どーいう気持ちで"困る"なんて言ったの」
「っ、」
あぁ。
今日も今日とて、私は八千代くんに翻弄されている。