八千代くんのものになるまで、15秒


「クラスの女子がなんか騒いでた」
「そうなの?」

「なんか、階段から落ちそうになった女子を梓希が助けたとかなんとか」



な、なにそのシチュエーション……
想像するだけで胸がドキドキしてくる。

王子様みたいにスマートにその子のこと助けてあげたのかな。

そんな姿を見たら、確かに騒いでしまうのも納得してしまう。



「"八千代ブーム"ってやつ?」
「そーだね……」

「落ち込んでんの」
「う、いや、そんなことないけど……」

「わっかりやすいなぁ、おまえ」



呆れたように笑う瑛士。
少しムッとしてしまう。



「別にっ。私も八千代くんにスマートに助けられたいなぁって思っただけ──」
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